第41章 調和の綻
ルナは二人の叫びを聞いて、泡沫のように消えてしまいそうなほど淡く、寂しげに笑った。
「………そっか。そうだな。俺は二人をわかってなかったのかもな。
俺は二人に怪我して欲しくなかっただけだったんだけどな、悪かったよ。」
ルナのしおらしい態度に、ナルトとサスケが黙り込む。
「……………ごめんな、ナルト、サスケ。
俺が二人を全然わかってないせいで、嫌な思いさせたな。
…………やっぱり、俺は周りの人間みんなを不幸にしちまうみたいだ。」
ルナは転生してからの今までを振り返った。
ルナの犠牲になった神隠れの里人達。
ルナの手にかかったフガクとミコト。
五年間、一人悶え苦しんでいたサスケ。
それらは全て、不本意ではあるがルナと密接な関係があった。
そのことを思うと、ルナはいつも、自責と後悔の涙を禁じ得ないのだった。
「…………ごめんね、サスケ。ナルトも。ごめんなさい………」
(ここで泣いちゃうなんて………卑怯だ……私………)
ルナは泣いてはいけないと思いつつも、溢れ出る涙を止めることができなかった。
サスケとナルトは、ルナが予想よりも遥かに大きなダメージを受けたことに気がつき、急に申し訳なくなってきた。
「………レイ、悪かったってばよ………お前はなんも悪くないのに………俺ってばやつあたりしちまった…………」
「………レイ、悪かった………だから、泣くなよ…………」
ルナは二人の言葉を聞いて、目を閉じ、そうじゃないと言いたげに首を振った。
「…………いいんだ。二人の言うことはもっともだ。悪いのは、全て俺だ。俺が生まれたから、俺がいるから…………」
ルナが呪いのように呟く。
ルナの謝罪は、いつの間にか自己否定になっていた。