第41章 調和の綻
ルナが追いついたとき、そこは演習場の一つで、サスケとナルトは一触即発の状態だった。
サスケは左腕に千鳥を纏い、ナルトは螺旋丸を右手に発生させていた。
「…………………そこまでだよ。ナルト、サスケ。」
互いにぶつかり合おうとする二人の間に、ルナはスッと入り込み、その腕を押さえた。
「レイ!ジャマすんじゃねえってばよ!」
「…………レイ、何故邪魔する?」
ナルトは怒鳴り、サスケは凄む。
そんな二人組に、ルナはいかにも呆れたとでも言うような視線を向けた。
「え?だって、ここで二人がぶつかることに意味なんてないだろ?病院送りになりたきゃ別だけどな。」
「……………」
ルナのド正論に、二人は黙り込む。
「それにな、ナルト、新しい術を覚えられて嬉しいのはわかるけど、忍はそう簡単に奥の手を見せないもんなんだぜ。
サスケも、そんなすぐプッツンしてちゃ、チャクラがいくらあっても足りないぞ。
ほら、離れな、二人とも。」
ルナはそう説教をすると、腕に力を込めて、サスケとナルトを突き飛ばした。
「っ………」
引き離されたナルトとサスケは、ルナを睨みつけた。
「…………レイには、わかるワケねえってばよ…………」
ナルトが小さく呟く。
「………そうだな。確かに、レイにはわからないかもな。」
サスケが珍しく、ナルトに同調する。
「…………何の話だ?」
ルナは二人が何を言いたいのかわからず、怪訝そうにそう言った。
「…………レイにはわかんねぇってばよ!俺の気持ちなんて!
レイはなんでもできて、俺より全然強いのに、みんなに優しくて……おまけにちょっと抜けてて、憎めなくて…………
……………誰にでも好かれて!そんなお前に、俺の気持ちなんて、わかるワケねえ!」
「そうだ………レイ、お前は強い。だから…………俺がどんな思いで修行してるか、わかる訳ないんだよ!」
ナルトとサスケが、ルナに向かって声を荒げ、叫んだ。
二人は心のどこかで、これはルナに八つ当たりしているだけだとわかっていたが、止められなかった。