第41章 調和の綻
「でもさ、でもさ………」
まだ何か言いたげなナルトを、ルナが止めた。
「まあまあ、ナルト、そこらへんで勘弁してやってくれ。
それに、俺だってたまに意地悪しちゃうことあるしさ。」
「ええー⁈レイ君がイジワル⁈いつよそれ?」
心当たりが全く無いサクラが口を出す。
「え?うーん、例えば…………
…………………瞬殺できるのに、ワザと焦らしてみたり?」
ルナは暗部時代でも分隊長になる前、正体を隠すため、大抵は術を使わず、基本刃物で攻めていたことを思い出して呟いた。
今から考えれば、命遁で痛みを感じる間も無く殺してあげたほうが、彼らのためだったかもしれない。
ことも無げにそう言ったルナに、その場の空気は凍りついた。
(そう言えばレイは、仲間のためなら大量殺人も辞さないんだった………)
カカシは最近忘れかけていた、ルナの残虐性について思い出して、冷や汗を流した。
(レイ………コエェってばよ……)
(レイ君…………可愛い顔して、コワいこと言うわよね………)
ナルトとサクラといのも、少し引き気味だった。
(レイは既に、任務で人を殺したことがあるのか………)
シカマルとチョウジは、目の前にいる朗らかな少年の、闇の部分を垣間見た気がした。
(皇レイ………やはり、もう人殺しには慣れていたか…………
………でなければ、あんなスピードで何人も殺れるワケないしな………)
アスマは木ノ葉崩しのときに、ルナの影分身が小隊一つを難なく潰していたことを思い出した。
(レイ………波の国では、基本瞬殺だったが……………
………敵をいたぶっていた時代もあったということか………中忍試験のときのように………)
サスケはルナの暗い過去について、あまり驚かなくなっていた。