第41章 調和の綻
「……………そんなんじゃねぇ。お前に俺の何が………」
(レイが俺をそんな風に思ってたなんて………なんつーか………)
サスケはその余りに眩しい笑顔を直視できなくて、ルナから目を離して反論を試みた。
「………………わかるよ。」
(そうだよ…………本当のサスケは、素直で可愛くて…………それにとっても優しい子だもん。
昔、私が泣いてたときに優しくしてくれたこと、忘れてないよ?)
ルナは穏やかな声で畳み掛けた。
「…………っ……お前にわかるわけが………」
(何故そんなことが言えるんだ?俺とお前は、全然違うのに………俺の実力は、お前に遠く及ばない………)
サスケが抵抗を試みる。
「…………わかるよ、サスケ。」
(たまにちょっと意地っ張りなとこもあるけど…………そこも含めて、サスケはサスケだもんね。
て言うかサスケって、ちょっとツンデレの素質あるよね〜……………
…………まあ、私がサスケを、今みたいにしちゃったんだけどね………はは………)
ルナはそれでも、そう言い続けた。
その声はとても優しくて、そしてどこかもの悲しかった。
サスケはそれを聞いて、皇レイという少年は天涯孤独で、ヒルゼンに引き取られて木ノ葉にやって来たことを思い出した。
そして、両親の死に責任を感じていることも。
それがどれだけ苦しいことか、サスケにはよくわかっていた。
(そうだ…………レイは……レイだけは俺の苦しみがわかるんだ………)
「………………そうだな。確かに、レイは俺をわかってるな………」
サスケがそうしみじみと呟いたことに、ルナ以外の全員は酷く驚いた。
(サスケが………人の言うことを素直に聞いた……?)