第41章 調和の綻
ヒルゼンがいなくなると、カカシはルナ達の方を向いた。
「………さてと。前に俺が奢るって言ったときは、逆にお前にご馳走になっちゃったからな……今日こそ俺が奢るぞ。
…………レイ、何が食べたい?」
「うーん………」
ルナが考え込んでいると、ナルトがカカシの言葉に突っ込んで来た。
「え?え?ご馳走になったって、どーゆーことだってばよ?」
「あー、それはなぁ………」
カカシが前にルナの家で夕食を食べたことを話すと、サクラ、ナルト、サスケの顔は驚きに染まった。
「ええーー!
カカシ先生、レイ君の手料理なんて食べさせてもらったのー⁈」
「カカシ先生、俺がいねぇ間に、ずるいってばよ!」
「……レイ、料理なんてできたのか…………」
三人の反応は様々だった。
「んー、まあな。
かなりうまかったぞ〜残念だったな!」
カカシがそう言ってニシシと笑った。
「もー、カカシ先生、意地悪言っちゃダメですよ。
ナルト、夕食に困ったときは、俺のところに来ていいからな。よかったらサスケも。」
ルナが軽く笑って言う。
「いいのか?俺、毎日行っちまうかもしんねえけど?」
ナルトが疑わしそうに、でも期待を込めた視線を投げかける。
「いいに決まってんだろ。心配すんな。サスケもな。」
「……ああ。」
サスケは素直になれなくて、ぶっきらぼうに言ったが、顔は少し嬉しそうだった。
「それで、レイの希望は?」
カカシが改めてルナに訊いた。
「うーん、そうですねぇ………俺はみんなの好きなものでいいんですけど……あっ!」
ルナはそこで、原作ではシカマル達が焼肉屋で祝賀会をしているのを思い出した。
中忍試験の結果が今日通達されたなら、遭遇する確率は高い。
「……あの、焼肉なんてどうですか?」
ルナは遠慮がちに提案した。
「ほうほう、焼肉ね。いいよな、みんな?」
カカシが皆に確認した。
「もちろんだってばよ!」
「やったー!焼肉、久しぶり!」
「……ああ。」
ナルト達は喜びこそすれ、反対など全くしなかった。
「じゃ、行こうか。」
「はい、カカシ先生。」
ルナの言葉を合図に、五人は焼肉屋に向かって歩き出した。