第40章 回復
「レイ…………」
ナルト達がいなくなってから、ルナの眠るベッドの傍に椅子を持って来て座り、カカシは小さく呟いた。
(レイがこんなになるなんて……………余程酷い悪夢を見ていたんだろう………)
カカシは、ヒルゼンからルナの生い立ちの話を聞いたことを思い出した。
(レイは両親の死を、自分の責任だと思っている………その意識が、幻術に反映されたら………
…………どんなに苦しかっただろう?どんなに辛かっただろう?)
その額に浮かんでいる汗を、カカシは置いてあったタオルで拭った。
その間も、ルナは眉を悩ましく歪めて、苦しそうに息をしていた。
「…………うっ……あぁっ……………んぅっ……………」
ルナが無意識に呻き、吐息を漏らす。
少し開いた唇は淡い紅色で、濡れてつやつやと光っていた。
そのか弱くも艶かしい姿を見て、カカシは何か、見てはいけないものを見ているような気がして来た。
(……………なんか俺、ここにいちゃいけない気がする……でも、他の人に頼むのも気が引けるしなぁ………
………とにかく、綱手様に相談して…………)
カカシが立ち上がって、病室を出て行こうとしたとき、後ろからか細い声がした。
「…………あれ?カカシ先生?俺は一体………」
カカシが振り向くと、ルナが頭を押さえて、上半身を起こしていた。
「レイ!お前………」
カカシは慌ててルナに駆け寄った。
「……あれ?ここ俺の病室じゃありませんよね?もしかしてここ………
…………カカシ先生の病室ですか?すみません、すぐにどきますね。」
カカシのベッドを使ってしまっていることに気がついたルナは、慌ててベッドから降りようとした。