第40章 回復
「レイ、立ち上がらなくて良い。ジッとしていろ。」
カカシがそう言ってルナの背を撫でる。
「はい………」
(痛いよ痛いよ痛いよ…………なんでこんなに痛いんだろう?)
ルナは動かず、痛みが治まるのを待ったが、その間も頭痛は酷くなるだけだった。
「………すみ、ません、カカシ先生………俺………うぁっ!」
(あ、ヤバい…………意識が……消え…………)
激しく鋭い痛みがルナを襲い、ルナは低く呻いて、意識を失った。
「レイ!」
「レイ君!」
ナルトとサクラがルナの耳元で叫ぶが、ルナがそれに反応することはなかった。
ルナの顔色は青ざめ、ヒューヒューと細く浅い呼吸を繰り返していた。
「ナルト、サクラ、静かに………よいしょっと。」
カカシがルナを抱き上げ、さっきまで自分が寝ていたベッドに横たえた。
「レイのことは、俺に任せて、お前らはもう帰れ。
レイはもう少し、休養が必要だ。」
「カカシ先生………」
「………カカシ先生、レイ君は………」
ナルトとサクラが不安げにルナを見る。
「…………俺にはよくわからん。目覚めないようなら、俺の方から綱手様に相談してみる。
……………だから、今日は帰れ。」
カカシはそう言って、三人に背を向けた。
「…………ナルト、サクラ、行くぞ。
今、俺達がレイにしてやれることは、何もない。」
空気を読んだサスケが、いち早く病室から出て行った。
「サスケェ!」
「待って、サスケ君!」
その後をナルトとサクラが追い、カカシの病室には静寂が戻った。