第40章 回復
慌てるルナを、カカシが止めた。
「…………待て、レイ!そのままでいろ。
ベッドが必要なのは、俺よかお前だ。さっき倒れたのを忘れたか?」
「あ………そうでしたね。すみません。」
ルナはそう言って、困ったように笑った。
「でも、もう本当に、平気です。頭も痛くありませんし。」
(とか言って、本当はまだちょっと痛いけどね。)
カカシが止めるのも構わず、ルナはベッドから降りた。
「では、カカシ先生、お大事に。明日からまた一緒に、頑張りましょうね!」
ルナはカカシに優しい笑顔を向けると、病室を出て行った。
「レイ………」
ルナに押し負けたカカシは、病室の扉が閉まると、ベッドにボフッと背を預けて呟いた。
そして、ベッドから自分のものではない匂いがすることに気がつく。
(なんだ、この匂い………シャンプーか何かの匂いか?)
そして、その匂いがいつ付いたものかに気がついて、微妙な気分になった。
(これは……レイの匂いか……………なんだかなぁ……嫌な匂いじゃなくて、むしろいい匂いなんだけどなぁ………)
だが、シーツを替えてもらうのもルナに失礼な気がして、気にしないことに決めた。
「……はぁ。」
廊下に出たルナは一人呟いた。
(危なかった………またストレスで倒れるなんて、私ってほんっとに精神弱いな………
…………なんとかならないかなぁ……………)
ルナは溜息を吐くと、自分の病室に戻り、明日に備えて寝た。
うーむ、やはり、意識がある状態での乗っ取りは困難か…………
ルナも辛そうだし、諦めるか。
ルナの覚醒と共に、妾は傍観者の椅子に戻された。