第40章 回復
「はぁ………」
綱手は一人廊下に立って、溜息を吐いた。
(先生はあの子のことをよく知ってるみたいだが……一体どんな事情が?)
綱手の目も憚らず、十二、三歳の少年を抱きしめたヒルゼンに、綱手はまさかと思ったが、
そんな訳ないかと思い直して、カカシの病室に向かった。
しかし、歩いている間も、頭の中は白髪の老人とほっそりした可憐な少年が抱き合っているシーンで一杯だった。
(先生がまさか………いやいやいやいや、そんなわけない。きっと、私が知らない、何か深い事情があるんだ。
そうだ!そうに決まってる!)
そして、カカシの病室に着き、ドアを開けると、カカシとナルト達がいた。
「お前達、まだいたのか………」
ナルト達の粘り強さに、綱手は少しばかり呆れた。
「あ!綱手のばあちゃん!」
「綱手様!レイは⁉︎」
綱手の様子などはつゆも気にせず、ナルトとカカシが、ルナの安否を知りたがった。
「落ち着け。もう大丈夫だ。」
綱手がそう言うと、ナルト、カカシ、サクラ、サスケはホッとした顔になった。
「よかったー!じいちゃんてば、おどかしやがって!」
ナルトが嬉しそうに溜息を吐く。
「本当、良かった……」
サクラもホッとして胸を撫で下ろした。
「…………レイ……そうか、回復したか……」
カカシもふうっと溜息を吐く。
「……………」
サスケは何も言わなかったが、さっきよりも頰が緩んでいた。
「…………それにしても……確かに遅かったですね。
あれからもう、三十分以上経っていますし………」
カカシがチラリと時計を見て呟く。
「………ああ。あの子はなかなか目覚めなくてな。だが、もう大丈夫だ。
ただなぁ、少し混乱しているみたいでな。先生が任せろって仰るから、外したんだ。」
「そうですか………」
カカシが呟く。
(レイ………お前は精神攻撃には弱かったか………
………無理もない、あんな過去を持っていれば………)
綱手を交えて五人で話していると、不意に病室の扉が開いた。