第40章 回復
「……取り乱してすみません。」
しばらくすると、ルナはヒルゼンから離れ、目を擦った。
「……いいのじゃよ、ルナ……儂の方こそ、お前に苦労ばかりかけて………」
「……いいえ、いいんです。もう、大丈夫です。」
ルナはそう言うと、ベッドから降りた。
地面に足をつけ、自立したとき、ルナは強い眩暈を感じたが、ヒルゼンを心配させまいと、顔には出さなかった。
(くっ……頭が、痛い………ずっと寝てたせいかな?)
そして、音も無くやって来た影分身がルナの側で消え、ルナが寝ていた間のことを報告した。
(イタチ兄さんには………バレちゃったか。李蘭達には、バレてないと。)
ルナは偽装工作がうまくいかなかったことに溜息を吐きそうになったが、なんとか堪えた。
ヒルゼンは、ルナの影分身がいきなりやって来て消えても、大して驚かなかった。
(影分身……ルナが眠っていた間のことを報告しているのだろう………
…………全く、ルナは抜け目がないのぉ。)
「………カカシ先生は、大丈夫ですか?」
「ああ。もう回復しておる。」
ヒルゼンは、カカシの方がずっと速く回復した、という言葉を飲み込んだ。
「では、お見舞いに行きましょうか。」
「………そうじゃな。ナルト達もお前のことを心配しておったぞ。勿論、サスケもな。」
「………そうですか。では、カカシ先生の病室の場所を教えていただけますか?」
「ああ。こっちじゃ。」
腕が動かしづらいヒルゼンに代わってルナが病室のドアを開け、ヒルゼンとルナはカカシの病室に向かった。