第39章 発覚
シスイ達人間は、妾がいなくなった後も、少しの間金縛にあったように動くことができなかった。
「………………大丈夫ですか、シスイさん。」
しばらくして、李蘭がシスイを気遣った。
「………………ああ。少し、混乱しちゃあいるが、だいたいの事情は飲み込めた。
………………あれは、ルナの祖先の魂が、ルナの身体を動かしていたんだろ?」
他にも感じたことは色々あるが、それを李蘭に言えば、最悪殺されかねないのではないかとシスイは思った。
「…………ええ、その通りです。
紅桔梗様…………まさか、お目覚めになっていたとは…………
………流石に、肉体に入ったままでは、魂だけの存在には気づけないようですね。」
李蘭は興味深そうに頷いた後、シスイと再不斬、白に向かって頭を下げた。
「………申し訳ありませんでした、シスイさん、再不斬さん、白さん。
………我が主人は、ああいう方なのです。
奔放で我儘で残酷で…………それでいて、愛するもののために、全てを投げ出してしまう………
……………たとえ他人を巻き添えにしても。」
とうとうと話す李蘭は、自分の主人の自分勝手な行動には、もう慣れているという感じだった。
「残念ながら、紅桔梗様に造られた私と那由他は、紅桔梗様と、その正当な継承者……
……つまり、主人の命令には、一切逆らえません。
千年前も、十二年前も、そうでした。
……………装置を完成させたのは、私と那由他、紅桔梗様の三人で、
里人全員を跡形もなく消し去る術をルナ様のお父様に教えたのは、私と那由他なのですから。」
重々しく語る李蘭に、いつもふざけてばかりいる那由他も、今は項垂れてしまっている。
シスイは二人になんと言葉をかけていいのかわからず、口を噤んでいた。
再不斬と白も、初めて聞いたルナの過去を整理するのが忙しいのか、心ここにあらずだった。