第39章 発覚
「ああ………確かにそうだな。
妾は、我が子供達のためを思っていたつもりで、実は自己満足のために思考停止しただけだったのかも知れぬな。」
妾は諦めの笑みを浮かべ、ルナの長い銀髪をさらりと払った。
そんなことは、妾だって心のどこかでわかっていたさ。
だからと言って、妾にどうしろと言うのだ。
あやつが苦しんでいるのを、ただ見ていろと?
それとも、我が愛しき子供達を、殺せと?
どちらも妾には選べぬ。
かといって、妾の身体だけでは、装置のエネルギー源を維持できぬ。
だから妾は、最低限の犠牲と引き換えに、あやつと子供達を救った………つもりだった。
だが、それも無駄だった。
妾が我が子供達のために立てた策は、我が子供達によって崩された。
"愛"などという、曖昧なもののためだけに。
……………いや、妾も人のことは言えぬな。
目を瞑って、瞼の裏にあやつの可愛い笑顔を、耳の奥にあやつの妾を呼ぶ声を思い出す。
—————————紅桔梗…………
あやつは本当に………………おかしな奴だった。
だが、妾はそこが好きだった。
本当に愛しかった。
何よりも、何よりも。
「……………それで、李蘭………言いたいことは、それだけか?」
妾はルナの黄金色の神通眼を開いて、李蘭達、その場にいる全員に、威圧的な視線を向ける。
ルナの体内で練り上げた大量のチャクラが、生前の妾と同じ、おぞましく、そして神々しいオーラとなって、皆を包み込んだ。
流石、最後の神の依り代。妾と同種のチャクラを持つ者。妾の無垢なる生まれ変わり。
見よ、ルナ。お前の身体の持つエネルギーに、皆が恐れ慄いておるぞ。
人間はおろか、李蘭や那由他ですら、固まって動けない始末よ!
「っ……………」
李蘭は妾から視線を外し、悔しそうに唇を噛み締める。
那由他はいつの間にやら銀色の小さな犬の姿になって、李蘭のうしろに隠れてしまっている。
シスイは無礼にも妾を凝視し、再不斬は額に冷や汗を滲ませ、白は何故か、少し悲しげな表情で妾を見ていた。