第39章 発覚
「………その先は、言ってはいけません。」
ルナの影分身が妾の口を手で塞ぎ、ひそひそと小声で言った。
「…………紅桔梗様。お願い致します。
その先はどうか………ご勘弁を。」
ルナの影分身は、兄のイタチや弟のサスケを守ろうとしているときと同じ、ひどく真剣で、必死で………
…………そしてひどく悲しい目をしていた。
可愛い子供達に必死に頼みごとをされて、それを無視するほど妾は鬼ではない。
人の口を塞ぐのは感心しないが、妾をこうも素早く自分の祖先として認識し、しっかり敬語を使って来るあたり、流石我が子供達……
…………いや、この子には生まれたときから確固たる自我があったのだったな。本当に面白い子だ。
まあよい。今は言わないで、訊かないでおいてやろう。
「…………仕方がないな。言わないでおいてやる。」
妾はわざと人の悪そうな微笑みをルナの影分身に向けた。
ルナの影分身は自分のいつもと違う表情に、一瞬混乱していたが、すぐに礼を言って、妾から離れた。
「…………で、今この身体を動かせているのは?」
那由他が妾に先を促す。
空気読め、ボケがぁ!ルナが嫌がってるだろ!そんなだからルナに懐かれねえんだよ‼︎
……とどストレートに言うと、我が僕のガラスのハートはバリーンと割れてしまうので、そうは言わない…………………とでも思ったか‼︎
「空気読め、ボケがぁ!ルナが嫌がってるだろ!そんなだからルナに懐かれねえんだよ‼︎」
妾は思ったことを、そっくりそのまま言ってやった。
「ぐふっ……」
妾の的確過ぎるツッコミは那由他の心を深く抉り、大ダメージを与えたようだった。
しかも、膝をついている那由他を、皆が微妙な顔で見て、誰も慰めないのは更に傑作だ。
皆が口には出さずとも、そう思っていたということなのだからな!