第38章 偽装工作
「イタチ兄さん、鬼鮫さん、お疲れなら、今日はもうお風呂に入って、休んだ方がいいんじゃないですか?」
ルナの影分身は少し申し訳なくなって、そう提案した。
イタチと鬼鮫が風呂に入っている間に、前は他のメンバーに任せきりにしていた夕食を、
冷蔵庫であるもので適当に作ろうと思っていた。
「うむ、そうだな。じゃあ、鬼鮫、先に入ってくれ。」
イタチは鬼鮫が風呂に入っている間に、ルナの影分身に色々訊こうと思っていた。
「そうですか。では、お先に失礼します。」
鬼鮫はイタチの真意には気がつかず、そう言って風呂場に向かった。
風呂場からシャワーの音がし始めると、イタチはルナの影分身に向き直った。
「ルナ、お前、なんともないのか?」
イタチは取り敢えず、当たり障りのない質問で、ルナの影分身の反応から何かを読み取ろうとしてみた。
「うん?私はいつも通り、元気だよ。
疲れちゃってるのは、イタチ兄さんの方でしょ!」
ルナの影分身は明るくそう言うと、イタチの手を取って優しく握った。
「お疲れ様。でも、あんまり無理しないでね。」
ルナはイタチを見上げ、いつも通りの可愛らしい笑みを浮かべた。
イタチの手をさするルナの影分身の左手小指には、
さっきイタチが見た指輪に酷似したものが、ルナの瞳と同じように、青く美しく煌めいていた。
イタチはそれを見て、やはりさっきの下忍はルナだったのではないか、と思って、
今度はより具体的な質問をしようと思ったとき、飛段と角都が帰って来て、それは叶わなかった。