第38章 偽装工作
ガチャ
「こんにちは、暁のみなさん!」
ルナの影分身は、暁のアジトの自分の部屋のドアを開け、朗らかに挨拶をした。
その声に、ついさっきアジトに戻って来たイタチと鬼鮫が顔を振り向いた。
「!ルナお前…………」
イタチは、さっき月読にかかって倒れたと思っていたルナが当たり前のように現れたのに驚いた。
が、鬼鮫がいる手前、顔には出さなかった。
「おやルナさんですか…………おかえりなさい。」
ルナのことには気がついていなかった鬼鮫は、少し疲れた顔で、ルナの影分身を出迎えた。
「あれ、イタチ兄さん、鬼鮫さん、どうしました?
なんだかお疲れみたいですけど…………」
ルナの影分身はその答えがわかりきっている問いをぶつけた。
「いや…………木ノ葉の三忍の一人、自来也と接触したんでな。
逃げ切るのに天照まで使わされてしまった。
ルナの指輪のお陰で、チャクラ不足にはならなかったが…………」
イタチが自らの人差し指に嵌っている、白い指輪をスルリと撫でる。
「イタチさんはまだいいですよ。
私なんて、下忍に二回も鮫肌を弾かれて……………
なんなんでしょうね、あの下忍。
ルナさん、何か知りませんか?」
鬼鮫がはあぁと溜息を吐きながら、ルナの影分身に訊いた。
「いやー…………すみません、わかりません。
班員と担当上忍以外の人は、余り知らないので…………」
ルナの影分身は、それは私ですとは言わず、苦笑いして言った。
「そうですか…………いえ、いいんです。
もし次に会ったら、どうしましょうかねえ…………」
鬼鮫のニヤニヤとした表情を見て、ルナの影分身は、
(鬼鮫さんにもバレないように気をつけよっと………)
と思った。