第37章 暁の二人組、襲来
「レイ君!」
ルナが病院に運ばれたことを聞いたサクラが、ルナとカカシの病室に駆け込んで来た。
そして、綺麗な顔を辛そうに歪めて眠るルナと、傍に座っているサスケを発見した。
「サスケ君!レイ君はどうしちゃったの⁉︎」
サクラは血相を変えて、サスケに詰め寄った。
「サクラか………レイは、イタチの幻術を受けたんだ。カカシと同じようにな。」
サスケがルナの手をもう一度握り、サクラから目を背けた。
「…………わかってる。こうなったのは俺のせいだ。
俺が後先考えずに飛び出したから、レイは俺を心配して、俺を追って来たんだろ………?」
そう言うサスケの声は微かに震えていた。
サスケが激しく反省しているのがわかって、サクラは喉元まで出かかっていた非難の言葉を飲み込んだ。
サクラの沈黙を肯定と受け取ったサスケは、そのまま独り言のように話し続ける。
「レイは俺があいつに例の幻術をかけられそうになったとき、俺とあいつの間に入って来たんだ。
それで、俺がかかる筈だった幻術を食らったんだ。予測していたのか偶然なのかはわからないが。」
「そう…………」
サクラはサスケを非難することも励ますこともできず、それだけ言った。
その間も、ルナは呻き、喘ぎ、悪夢に苦しんでいた。
「レイ君……苦しそう………」
サクラはそう呟くと、サスケとは反対側のルナの手を取って握った。
「…………自来也とかいう奴に寄ると、何らかの精神攻撃を受けて、目が覚めなくなってるらしい。
………今、ナルトとその自来也が、レイとカカシを治療できる奴を捜してる。
………今はただ、それを待つばかりだ。」
サスケはルナに何もしてやれないことが申し訳なくて、目を伏せた。
そんなサスケと、苦悶に歪むルナの顔を、サクラは何とも言えない顔で見ていた。