第37章 暁の二人組、襲来
「失礼する。」
ガラッとルナの病室のドアが開き、仮面をつけた暗部が入って来た。
そしてそのまま、横たわるルナにつかつかと歩み寄る。
「⁉︎」
サスケとサクラは状況が飲み込めず、慌ててサッと立ち上がった。
「…………暗部が、一体レイに何の用だ。」
サスケが怪訝そうに、暗部を睨んだ。
「さあな。こいつの病室を移して、面会謝絶にしろっていう、火影様のご命令だ。
俺は詳しいことは知らん。」
暗部はそう言うと、サスケとサクラには構わず、ルナを担ぎ上げ、どこかに連れて行ってしまった。
サスケとサクラは、突然のことにしばらく固まっていた。
「何故、火影はレイを面会謝絶に……?」
「本当、何でかしら………でも、火影様に直接聞く訳にもいかないし………」
サスケとサクラは、解答する手段が無い問いを持て余した。
その頃、個室に運び込まれたルナの顔を見つめて、ヒルゼンはやり切れない気持ちになっていた。
(ルナよ……お前はお前の意志で、イタチの幻術を受けたのだな…………
………やはり、サスケのために自分を犠牲にするか………お前とイタチは、本当にそっくりだ………
……たとえやり方が違っていてもな…………)
ヒルゼンは言うことを聞かない手で、ルナの額に張り付いた前髪を払い、ハンカチでその汗を拭った。
(………だが、そうなる原因を作ったのは、この儂じゃ。儂はルナに、詫びても詫びきれないのぉ…………
………木ノ葉は、お前を犠牲にしてばかりじゃ…………)
「ルナ……済まない。儂はお前を、苦しめてばかりじゃ…………」
ヒルゼンはルナに小さく詫びると、誰かに見られる前に火影室に戻って行った。