第37章 暁の二人組、襲来
その頃、ヒルゼンに報告に行ったガイについて行ったルナの影分身は、
報告を済ませたガイがいなくなると姿を現し、いつかのように暗部を眠らせた。
「レイ!お前!」
ヒルゼンはたったさっき、イタチの幻術を受けて倒れたと聞いたルナが現れたことに驚き、思わず立ち上がった。
驚愕の表情を浮かべているヒルゼンに対して、ルナの影分身は至極冷静だった。
「こんにちは、火影様。説明することと、お願いがあって参りました。聞いていただけますか?」
「………ああ。説明してくれ。」
ヒルゼンは相手の焦りを全く気にしないルナの影分身の態度に、かえって少し安心して、そう言った。
そしてルナの影分身は、自分が影分身であることを説明し、寝言で正体がバレたらまずいので、病室を移して欲しいことを伝えた。
「…………という訳で、火影様、お願いします。俺の本体は当分、面会謝絶です。
さっきから、アウトスレスレのことばっかり言ってるんです!聞く人が聞けば、いつ正体がバレてもおかしくありません。」
「…………そうか、わかった。お前の言う通りにしよう。ところで………」
「はい?」
「…………お前は、影分身だろう?何故、本体の意識が無いのに、術が解けないのだ?」
「あ、確かに………うーん…………」
ルナの影分身は、今更すぎる質問をされて、考え込んだ。
(本体が寝てる間も術が解けないのが当たり前だったから、考えたことなかったけど………確かに少し変だな………うーん、わかんないや。)
「すみません、火影様。それについてはよくわかりません。」
ルナの影分身は、質問に答えられないことを詫びて、頭を下げた。
「………頭を上げろ、レイ。わからないのなら無理に答えることはない。」
ヒルゼンはルナの影分身を、あっさり許した。
「下らないことを訊いて悪かったな。早急にお前の言う通りにするから、安心してくれ。」
「そうですか。ありがとうございます。では、俺はこれで。やることがありますから。」
ルナの影分身はそう言うと、飛雷神で神隠れに飛んだ。