第37章 暁の二人組、襲来
「サスケ、ゲキマユ先生、レイを頼むってばよ!
俺がぜってー、その綱手とかいうやつを連れて帰って来るってばよ!」
ナルトはサスケとガイにそう言い放つと、自来也に連れられて、どこかに行ってしまった。
二人の姿が見えなくなると、サスケは背中を壁に預けてグッタリしているルナを背負い、立ち上がった。
そして、初めて背負った仲間の軽さに驚いた。
(レイはこんなに軽かったのか……身長は俺よりも高いくらいなのに……ちゃんと食ってるのか?)
その身長からは想像出来ない軽さに、サスケはルナの食生活が心配になってしまった。
サスケが驚いた顔をしていたので、ルナの影分身はその様子をハラハラしながら見ていた。
「……行くぞ。」
サスケはガイに向かって、偉そうに言った。
「うむ。そうだな。ところで、そいつは俺が担ごう。お前だって、多少は怪我をしてるんだろう?」
ガイはサスケの態度も気にせず、気さくにもそう提案した。
「……いい。レイは俺の班のメンバーだ。俺が担ぐ。」
何となくルナを他人に触れさせたくなかったサスケはガイの提案を退け、つかつかと歩き出した。
ガイはそんなサスケを見て、
「ううーん、青春だなぁ!」
と嬉しそうに言いながら、その後を追った。
サスケとガイは、肩を並べて木ノ葉に向かった。
正確にはルナの影分身もいたが。
影分身は足音をたてないように、飛龍の術で飛びながら、本体とサスケを監視していた。
(命遁・胡蝶之夢!)
ルナの影分身は、チャクラで出来た金色の蝶を、一匹、神隠れの仲間達、もといルナの影分身達の誰かに送った。
この術は、いわばチャクラの識別で受け手を完全に限定でき、感覚に直接訴える電子メールのようなものだ。
今回は、ルナの影分身達に、今の状況を報告するために、記憶の一部を丸ごと送ったのだった。
これを受け取ったルナの影分身は、その内容を五感で追体験することができる。
(これでよし。本体が寝てる間、一回もイタチ兄さんとかシスイさんのところに本体が行かなかったら、バレちゃうからね。
今頃、誰が本体のフリするか、相談してるかな……)
影分身は変な気流を起こさないように気をつけて、飛び続けた。