第37章 暁の二人組、襲来
「まさか………」
イタチは頭が真っ白になり、激しく狼狽した。
(俺は…………ルナになんてことを………!)
イタチがショックの余り固まっていると、そこに原作よりだいぶ遅れた自来也が登場した。
そして、鬼鮫とイタチは、イタチの天照で蝦蟇の食道から逃げ出した。
イタチはアジトまでの道中で、さっき戦った下忍の体術が、妹のものと酷似していること、サスケを守りに来たこと、
顔自体や口調がよく似ていることなどから、あの少年は恐らくルナであると言う結論を下した。
同時に、ルナが暁とした約束を、破ってしまったことに気がついた。
(このことは、俺の胸の中にしまっておこう。もしバレたら、ルナといえどタダでは済まない。それにしても………)
イタチは同じ痛みを分け合った妹にやった攻撃の数々を思い出して、胸が痛んだ。
(知らなかったとはいえ、俺はルナになんてことを……ルナの首を絞めた上に、月読を使うなんて………)
そして挑発してきた割に、ルナに戦意が無かったことの理由も、理解した。
(ルナは俺を相手に、戦いたくなんて無かったんだよな………どうして、俺はもっと早く気がつかなかったんだ………
……………ルナ、済まなかった。)
イタチはルナに対して、心の底から詫びた。
イタチと鬼鮫がいなくなると、サスケはフラフラしながら、横たわるルナの顔を覗き込んだ。
「レイ……おい、レイ!」
呼びかけてみるも、応答は無い。
「レイ!どうしたんだってばよ!」
ナルトがルナを壁にもたれさせて、肩を揺するが、ルナはそれには反応せず、目を半開きにしたまま唇を僅かに動かすのみだった。
その真紅の瞳には、何一つ映っていなかった。
「ダイナミックエントリー‼︎」
そのとき、威勢のいい声と共に、緑の塊が自来也にかました飛び蹴りが、自来也の顔にヒットした。
「‼︎⁉︎」
ナルトとサスケはガイの乱入に面食らった。
「………あれ?」
ガイの方も、自分が攻撃した人物の正体に気がついて、間抜けな声を漏らした。