第37章 暁の二人組、襲来
しかし、そのときルナは、今まで自分の命のためにどれだけの代償が払われたかを思い出した。
同時に、死亡扱いになる前に毎日見ていた、幼いサスケの笑顔も。
ルナは朦朧としている意識の中で、自分がなすべきことを、今一度見据えた。
(そうだった………私が死んだら、サスケはまた大蛇丸から狙われるし、イタチ兄さんだって悲しむ。
こんなところで死んだんじゃ、お父さんとお母さんにも、顔向けが出来ない。
私は私の道を、歩き続けなきゃ。必要とあらば、最低限の抵抗もしなくちゃいけない。
攻撃したく無いなんて泣き言言ってられない!)
「くっ……こ、のっ!」
ルナは覆いかぶさっていたイタチに蹴りを食らわして起き上がり、激しく咳き込んだ。
そのまま、今度はやや本気で、イタチに突っ込んで行く。
いつの間にか、イタチとルナは、高度な技の掛け合いをしていた。
(……っ………コイツ………)
イタチはさっきとはうって変わっていきなり強くなったルナと、同じく手こずっている鬼鮫に、少し焦りだした。
(木ノ葉にこんな下忍がいたとは……まずい、このままだと………)
イタチがルナに月読をかけようとしたとき、一旦間合いを取った二人の間にサスケが乱入して来た。
ルナとルナの影分身が戦闘を始めた後、ナルトは鬼鮫に挑みかかるも、チャクラを吸われてあえなく撃沈してしまっていた。
一方サスケは、ルナとイタチのハイスピードな戦いを、手を出すことも出来ずに、ただ見ていた。
ルナがイタチに首を絞められていたとき、サスケは手を出そうとしたが、鬼鮫が攻撃してきたため、その対応で精一杯だった。
それでも、ルナとイタチの距離が少し空いた瞬間、二人の間に飛び込んだ。