第37章 暁の二人組、襲来
鬼鮫がナルトの部屋のドアの前に立ちはだかるルナに向かって、大刀・鮫肌を振り下ろす。
ルナは肉が削られそうになるのも構わず、その刀身を手のひらで挟み込んで受け止め、瞬間的に弾き飛ばした。
「何っ⁉︎」
まさか下忍に鮫肌を弾かれると思っていなかった鬼鮫は、もんどりをうって膝をついた。
そして、鮫肌の直後に襲って来た、凄まじい速さのイタチの拳を、ルナはパシっと拳で受け止めた。
一歩も譲らないルナと、写輪眼を開いたままのイタチの目が合いそうになり、ルナは慌てて鬼鮫の方を見た。
鬼鮫は立ち上がって、ニヤニヤと笑っていた。
「ふっ……どうやら私は、あなたのことを甘く見ていたようです………
次は、受け止められませんよ?」
鬼鮫がそう言った直後、イタチがルナの前から退き、鬼鮫が突っ込んで来た。
「……つっ!」
ルナは鮫肌を白刃取りし、ナルトがいる部屋のドアに背中をつきそうになるのを、なんとか堪えた。
鮫肌がルナの手袋に空いた穴からチャクラをどんどん吸い取っていく。
ルナは命遁を使う訳にも行かず、吸われるがままに任せた。
が、特にチャクラの不足は感じなかった。
鬼鮫がルナに鮫肌を振り下ろして、約五秒が経過した。
「何故だ……何故、あなたはこんなにチャクラを吸われていて、平気なんですか?」
鬼鮫は口調は冷静だったが、顔には焦りが見えた。
「さあ?なんででしょうね?」
ルナはそれに、好戦的な笑みで答えた。
その時、ルナの後ろで、ガチャリ、という音がした。
その音の発生元に、ルナ、イタチ、鬼鮫の三人は、思わず注目した。
「……おいおめーら、人の部屋の前でギャアギャア騒ぐんじゃねえってばよ!
…………え、あれ、レイ?」
宿屋の部屋から、ナルトが出て来た。