第37章 暁の二人組、襲来
一人飛び出したサスケは、焦っていた。
(うちはイタチが、ナルトを追っている……?一体どうして?
………いやそれよりも、ナルトがヤツに遭遇したら、ナルトはおわりだ!)
サスケは復讐対象が近くにいることよりも、仲間が危険に晒されていることの方を、重く見ていた。
一楽の店主からナルトのことを聞き出すと、木ノ葉隠れの里近くの宿場町に、ナルトを探しに向かった。
ルナがナルトのところに駆けつけると、丁度イタチと鬼鮫が、ナルトの部屋のドアをノックしようとしていたところだった。
「ストーップ。そこまでですよ、うちはイタチさん、干柿鬼鮫さん。ナルトは渡しません。」
ルナの言葉に、二人はこちらを向いた。
「おや、私達の名前をご存知でしたか。しかも、目的まで。何者です?」
鬼鮫は鮫肌を構え、ルナを威嚇する。
「………………」
イタチは黙ったまま、突然目の前に現れた、奇妙な既視感のある下忍を見ていた。
「さあ……俺は、木ノ葉のしがない下忍です。名乗る程の者ではありません。」
ルナは鬼鮫の質問をはぐらかした。
「そうですか、まあ、良いでしょう。それで、あなたが私達の邪魔をするのでしたら……あなたを殺しますが?」
鬼鮫が楽しそうににやりと笑う。
「はい。邪魔をするつもりで来ました。ナルトを連れて行くと言うなら、俺を倒してからでお願いします。」
対するルナはそう言って、いつも通り穏やかに笑ったが、その胸中は、焦燥感で一杯だった。
(どうしようどうしよう………イタチ兄さんにサスケを傷つけさせないために来たけど、イタチ兄さんとも戦いたくは無いし……
…………鬼鮫さんだって、傷つけたくないし………自来也さんが来るまでどうにか持ちこたえなきゃ…………)
「そうですか……では、行きますよ。」
鬼鮫がそう言うと、鬼鮫とイタチはそれを合図にしていたかのように、ルナに飛びかかって行った。
(イタチ兄さん、鬼鮫さん…………怖い。でも……私がナルトとサスケを、守らなくちゃ。)
ルナは初めて受ける、今まで可愛がってくれた二人の殺気を感じて、気を引き締めた。