第36章 奇跡と後始末
「それは……実は火影様が、目を覚まして開口一番に、
『………皇レイはどこだ?』
って仰ったから、てっきりお前が何かしたんじゃないかと思ってな。
それに、木ノ葉崩しの間、不可解な現象が里中で起こっていたっていう報告が大量に寄せられてな。
………それって、もしかしてお前の影分身の仕業じゃないかなーって、ちょっと思っただけ。」
カカシはルナを問い詰めて、真相を聞き出そうと思っていたが、自信満々の相手を見て急に自信が無くなって来た。
「あはは、そうですか。でも、残念ですが、俺もサスケを追うのに精一杯で、里や火影様のことまで、手を回せませんでしたよ。
火影様は、音の忍の張った結界の中にいて、誰も手出しできなかったの、カカシ先生も見ていたでしょう?
それと、俺の影分身は、十体が限界です。
それに、長時間の単独行動でチャクラ切れになるとマズイので、あの時は一体しか出してませんでしたし。
だから、その不可解な現象ってのは……俺とは関係ありません。」
ルナはカカシが詰問する気を無くしたように見えるのに安心しつつ、涼しい顔で大嘘を吐いた。
カカシはルナの冷静さに、いつもながら少し感銘を受けた。
(レイはあの混乱の中で、風影が化けた大蛇丸だったと見抜いた上に、結界のことまで、しっかり見ていたんだな……
……相手の数を考慮してナルト達を連れて行ったあたりも、流石レイだ。)
「そうか、レイ……疑って悪かったな。確かに、お前の言う通りだ。
どうやら、俺の考え過ぎだったようだ。済まない。」
カカシは軽く頭を下げて、ルナに詫びた。