第36章 奇跡と後始末
「火影様ももうわかっていらっしゃると思いますが、その腕では、印も満足には結べないでしょう。
………すみません。できることは全てやったつもりですが、それが限界でした。
そこで、失礼ながら俺から提案があります。」
「……なんじゃ?」
「火影様、そろそろ次と交代してはいかかでしょうか?」
ルナはお叱り覚悟で、ヒルゼンに進言した。
しかしヒルゼンは、ルナの言葉に嫌な顔はせず、深々と頷いた。
「………そうであるな。儂はもう、忍として戦うことは困難じゃしな……
ちょうど、お前が来るまでの間、そのことを考えておったのじゃ。
幸い、目星はつけてある。数日中に、探しに行かせよう。」
「そうですか。わかりました。あ、俺のことは次の方には内緒で………」
「………わかった。おお、それと。」
ヒルゼンは何かを思い出したようだった。
「はい?」
ルナは病室のドアへと向けていた足を、再びヒルゼンの方に向けた。
「………レイ、お前は何故、大蛇丸がサスケに転生しようとしていることを知っていたのだ?」
「ああ、それはですね……」
ルナは昔、大蛇丸がイタチを同じ理由で狙っていたこと、イタチを諦めた大蛇丸が、サスケを狙うと予想していたことを説明した。
「……なんと、そんなことがあったのか………
しかし何故、お前は大蛇丸を始末するのではなく、サスケの身代わりになるなどという、回りくどい手段を取ったのだ?
お前なら大蛇丸を倒すのも不可能ではないかもしれんのに……」
ヒルゼンはルナの説明に一応納得した上で、疑問を持った。
ルナはそれに、苦笑いして答えた。
「あはは、それがよくわからないんです。強いて言えば、それが確実だから、ですかね?
だってあの人、殺しても死ななそうですし。
前に暁のメンバーが、大蛇丸を討伐に行ったんですけど、結局失敗してましたし……」
(とか言って、展開を読みやすくするためだけどね!本気になれば、大蛇丸なんていつでも殺せるし。
まあ、封印するだけにしてあげるつもりなんだけど。)
「そうか………」
(なんと……レイ……いやルナは、確実性のために自分を犠牲にしたのか……!)
ヒルゼンはルナが事も無げにいったことに、衝撃を受けた。