第35章 木ノ葉崩し
我愛羅達がいなくなると、ルナの影分身はナルトに肩を貸した。
「さてと。木ノ葉に帰るか、ナルト。」
「……おう。」
「じゃあ、行くぞ。」
ルナの影分身はナルトに肩を貸したまま、移動を開始した。
「………なあ、レイ。」
木ノ葉までの道中に、ナルトが話しかけて来た。
「……なんだ、ナルト?」
「……………レイはどうして、そんなに強いんだ?」
「え?」
ルナの影分身は予想していなかった質問にキョトンとした。
「俺は、レイやサスケ、サクラちゃんがいるから、強くなれる……じゃあレイは、なんでそんなに強いんだ?」
ナルトは疲れ切って、目も半開きだったが、口調ははっきりしていた。
その問いに、ルナの影分身は、何かを諦めたような笑みを浮かべて答えた。
「俺もナルトとそう変わらないけど………そうだな。
強いて言えば、俺の命を守るために、多大な犠牲が払われているからかな。」
ルナの影分身は、もう殆ど顔も思い出せない両親が、自分のために里一つを犠牲にしたことを思い出した。
同時に頭をもたげる自責の念を、ルナの影分身は、イタチやサスケを守るという、自分の使命を思い出して蓋をした。
「………俺の両親は、俺のせいで死んだんだ。
だから俺は、こんな俺のために命を捨てた両親の分、大切な人を守りたいと思うんだ。」
そう語るルナの影分身の瞳は、過去に囚われた人間のものだった。
だが、肩を貸してもらっていたナルトは、そのことには気がつかなかった。
「……そう、か。」
(レイ……レイは今まで、そんな気持ちで生きて来たのか………それって……)
ナルトは体力切れの回らない頭で、ルナの気持ちを想像した。
(超辛いってばよ…………)