第35章 木ノ葉崩し
「さてと。」
不安要素の残るところに影分身を配置したルナは、会場の物見やぐらの屋根の上に降り立った。
屋根の上には音の四人衆が四紫炎陣を使っていて、誰も近づけなかった。
(柱間さんとか扉間さんとか出て来ちゃうと面倒だな……でも、大蛇丸が負傷しないと困るな……
………三代目が屍鬼封尽使うまで待つか。)
ルナは自分の都合で、突撃を延期した。
(命遁・守護遁甲!)
ルナは四紫炎陣を通り抜けるために、今使える最強の結界を自分を核に小規模に築いた。
これでルナは、燃えることなく四紫炎陣をすり抜けられる。
ルナは迷彩隠れで姿を隠したまま、その時を待っていた。
ルナが突っ立っている間に、四紫炎陣の中では、柱間の木遁が闊歩していた。
(柱間さん、なかなかやるな……いつか、木遁比べしてみたいな……)
ルナは追い詰められていくヒルゼンと、素顔を露わにした大蛇丸を、ジト目で見ていた。
そのとき、ヒルゼンと大蛇丸が自分の話をしているであろうことは知っていたが、特に興味は無かった。
大蛇丸が仮の顔を剥ぎ取り、素顔をヒルゼンに見せた。
ヒルゼンを含め、四紫炎陣の外から様子を窺っていた暗部達も、大蛇丸の顔の若さ、昔とは違う顔つきに驚いた。
「ま、まさか貴様……あの術を完成させていたのか……」
「ククク……里を出て十数年……苦労しましたよ。」
ヒルゼンと大蛇丸の頭の中に、大蛇丸が里を抜けた日のことが蘇る。
大蛇丸が自分の開発した術について軽く講釈を垂れ、ヒルゼンはそれを聞いて唸った。
「老いとは……虚しいものですねぇ……アナタを見ているとひしひしとそう感じます。
アナタはここで死に……私は更に若く、美しい………無敵の身体を手に入れる。
ルナちゃんは本当に、サスケ君の為ならなんでもする覚悟で、木ノ葉に戻った………」
大蛇丸がにやりと笑って言った言葉に、ヒルゼンはハッとした。
「ルナ……そうじゃ、あの子は………」
ヒルゼンの脳裏に、木ノ葉に再びやって来たときのルナの言葉が浮かんだ。