第35章 木ノ葉崩し
数十秒後、ルナの影分身は最後の一人の喉をクナイで掻き切り、その身体を地面に放り投げた。
「はい、おしまいと。あー、疲れた。」
そして思い切り伸びをし、眼球を動かしてアスマの隠れている方向を見た。
「そこの人、隠れてないで出て来ませんかー?」
アスマはそれを聞いて、観念した。
(カカシの奴、良い教え子を持ってるな……俺の気配を感じ取るとは……そろそろ出て行くか……)
「やあ、皇レイ君。一応、初めまして、かな?俺は猿飛アスマ。
見ればわかると思うが、木ノ葉の忍だ。」
アスマは血溜まりの中で無邪気に笑う下忍に薄ら寒いものを感じながらも、それを顔には出さなかった。
「そうですか。こちらこそ、初めまして。皇レイと申します。ただいまカカシさんからの任務中です。
アスマさんもサスケを追っているのでしょう?申し訳ありませんが、後は任せます。もう、限界なので。」
ルナの影分身は、アスマの返事を待たずに、ポンと消えた。
勿論、チャクラ切れで影分身が保てないなんて言うのは大嘘だが。
アスマに適当な説明をするのが面倒になったので、逃げただけである。
アスマはルナの影分身が突然消えたのを見て、唖然とした。
(今のは、影分身だったと言うことか!……なら、皇レイの本体は、今どこで何をしているんだ?)
アスマにはルナが何を考えているのか全くわからなかったが、今は状況が状況であることを思い出し、頭から疑問を振り払った。
(皇レイのことは、後でカカシにでも訊けば良い。今はとにかく、シカマル達と合流しなくては……)
アスマは追跡を再開した。