第34章 本選
サスケは控え室からルナの試合を見て、溜息を吐いた。
(流石レイだ……俺があんな威力の高い火遁を使い続けたら、あっという間にチャクラ切れになる……)
サスケは改めて、自分とルナの間にある差を思い知った。
炎の龍を意のままに操り、シノの虫を次々と燃え殻に変えていくルナの顔は微かに恐怖に歪んでいて、サスケは、
(レイは虫が苦手だからあんなに火遁を使いまくってるのか……)
と思って、フッと笑った。
(そう言えば姉さんも、虫一匹でキャーキャー言ってたっけ……)
いつかの姉とのやりとりを思い出して、サスケの頰は僅かに緩んだ。
闘技場ではルナとシノの戦いが続いていた。
「むむむ……ならば!」
シノは次に、大量の虫を出し、虫分身で挟み撃ちにしようとして来た。
しかしルナは、虫分身が陽動であり、後ろから虫の群体が迫って来ているのをわかっていた。
「無駄です。陽動を使っても。」
ルナは龍炎放火を操作し、虫分身と後ろにいた虫の群体を、振り向くことなく焼き捨てた。
シノが虫を出しては、ルナが焼く、と言うやりとりが続いて、ルナはつまらなくなってきた。
(なんか、マンネリ化してきた……ここらでいっちょ、仕掛けますか!)
ルナは、シノが放った虫を焼き払った直後、シノが十分に虫を出せていないタイミングを狙った。
「風遁・烈風掌!」
ルナがパチンと手を叩くと、凄い強さの突風が起こって、シノは吹き飛ばされた。
そしてそのまま、壁に激突し、意識を失った。
「……ハヤテさん、判定を。」
ルナはボケっとしていたハヤテに、判定を頼んだ。
呆けていた月光ハヤテは我に返り、
「えー、勝者、皇レイ!」
と言った。
会場には割れるような拍手が起こった。