第34章 本選
ルナがフィールドに降りると、丁度シノも来たところだった。
(ヤバイ!虫だ!ヤバイ!あーーっ!虫怖い!)
ルナはちょっとしたパニックを起こしていた。
いのとサクラは、
「レイ君…なんか慌ててるみたいね……」
「ホントねぇ……レイ君が慌てるなんて、シノさんてそんなに強いのかしら……」
と、ルナの様子を訝しんでいた。
「では、始め!」
月光ハヤテの声がして、試合開始となった。
シノが大量の寄壊虫をルナに向けて放った時、ルナの中でプチンと何かが切れた。
「もう、こうなっちゃあ仕方ない!
火遁・龍炎放火の術!」
ルナは炎で出来た龍を十体以上も吐き出し、高速で同時に操って、向かってきた寄壊虫を残らず焼き払った。
しかも、炎の龍は消えずに、ルナを全方位から守るように、宙を舞い続けた。
ルナは感知能力を研ぎ澄まし、半径10m以内には、何も近づけなかった。
虫一匹すらも。
(シノさん………降参して下さい。じゃないと、私………虫だけじゃなくてシノさんまで焼いちゃいそうです。)
ルナは心の中で呟いた。
シノは放った寄壊虫が全て焼かれたのにもめげず、再び寄壊虫を放って来た。
今度の虫は集合したまま、ルナを押し潰すべく向かって来たが、ルナはそれを一気に焼き払った。
「なにっ………ならば!」
シノは虫を高速で飛ばし、竜巻を起こした。
ルナはぐるぐる回る大量の虫達に、寒気がした。
(イヤアアアアァァァア!虫!嫌い!虫!ええーい、本来こういう時に使うもんじゃないけど………
結界・不可視円陣!)
ルナは誰にもバレないように、自分の周りだけに結界を張り、虫の侵入を完全にシャットアウトした。
何せ、この選択的透過能力を持つ結界を通れるのは、今や空気だけなのだから。
「行け、龍炎放火!焼き払え!」
ルナの炎の龍が一匹、シノの起こした虫の竜巻に突っ込み、そこにいた虫は全て焼けてしまった。
攻撃を全て炎の龍にやらせ、ただ突っ立っているルナは、さながら火の神のようだった。
闘技場に、ナルト以上に圧倒的に大きなチャクラが渦巻くのを、全ての観客が感じ取った。