第33章 休息
その日もやはり、ルナはシスイの家に泊まることにした。
「シスイさ〜ん………」
ルナはシスイの腕にしがみついた。
「……ルナ、このままじゃ、寝れないぞ?」
シスイは苦笑いして言った。
「え〜……良いじゃないですか……このまま寝ましょうよ。どうせ朝になったら同じなんですから。」
ルナはシスイの腕をギュッと抱きしめた。
シスイはそれを聞いて焦った。
(いくら何でもそれはマズいだろ……………)
「ルナ、それは流石に………」
「……お願い。」
シスイをルナの潤んだ青い瞳が見つめた。
(うっ………ダメだ。この目に逆らうなんて、俺には出来そうもない。)
シスイは瞳力でも何でもなく、ただルナの目に負けた。
「ルナ、わかったからそんな顔しないでくれ。さ、寝よう。」
「ふふっ、シスイさんありがとう。」
ルナは切なげな表情を崩し、ニコッと笑った。
シスイとルナは布団をくっつけて、並んで寝転んだ。
ルナはすかさず、シスイの腕に抱きついた。
「……本当にそのまま寝るのか?」
「勿論。だってシスイさんの近くにいると、何だか幸せで……よく眠れるんです。」
「俺は眠り薬か何かか………」
シスイはそう言って呆れながらも、ルナの言葉の前半を聞き逃してはいなかった。
(ルナが俺といて幸せ……何だか、嬉しいな……)
「おやすみ、ルナ。」
「シスイさん、おやすみなさい。」
ルナは目を閉じると直ぐに寝付いたが、シスイはそうではなかった。
(ルナは幸せになるとよく眠れるらしいが………俺は逆だな。俺だって、ルナの側にいられて嬉しいのに…)
耳にかかるルナの静かな寝息が、少しくすぐったい。
横をチラリと見ると、安らぎに満ちた可愛らしい寝顔があった。
(ルナ……こんなに胸が苦しいのは、俺だけなんだろうな………)
シスイは気持ちに蓋をしようとしたが無理だった。
(最近、ルナのことばかり考えているな……ふふっ、可笑しな話だ。俺が七つも年下の子に恋なんて……)
シスイは自嘲気味に笑い、目を閉じて、眠る努力をした。
暫く経って、シスイは眠りに落ちた。