第33章 休息
キョウチクトウを一頻り見つめたルナは、シスイの方に向き直った。
「じゃあ、お昼を食べましょうか。」
「ああ。」
ルナとシスイは敷物を広げた上に、弁当を広げた。
「いただきます。」
ルナはそう言ってシスイと一緒に煮た煮物を口に入れた。
「わあ、美味しい!シスイさん凄い!」
「ははは、ルナも一緒に作ったろ?」
シスイは喜んでいるルナを見て、ニコニコしながら言った。
「いやあ、私だけだと、絶対悲惨なことになってましたよ……煮過ぎたとか、味濃過ぎたとか。」
「ま、ルナもそのうち、出来るようになるさ。」
シスイはそう言いながら、ルナが焼いた卵焼きを口に入れた。
「……大丈夫ですか?」
ルナは心配そうに訊いた。
「………うん。美味しいぜ。ルナは甘いのが好きなんだな。」
シスイはニッと笑って言った。
「えへへ、良かったです。」
ルナは嬉しそうに笑った。
ルナがおにぎりを食べ始めてしばらくして、シスイはルナの頰に米粒がついているのに気がついた。
「あ、ルナ、ほっぺについてるぞ。」
「え?どこですか?」
ルナそれを聞いて少し慌てた。
「まあ慌てるな。取ってやるから。」
シスイはそう言って、ルナの頰についている米粒を取り、そのまま口に入れた。
それを見て、ルナは固まった。
(シ、シスイさんが私の顔から取ったお米を………)
ルナが固まっているのを見て、シスイは自分がやったことの重大さに気がついた。
(はっ!俺は何気なくなんてことを………)
「あー………ルナ、すまん。」
「いえ、シスイさんが謝るようなことでは……こちらこそ、なんだかすみません………」
シスイとルナは、顔を赤くして俯き、黙り込んだ。
青い二人を、夏の花々が見守っていた。