第33章 休息
ルナは神隠れに滞在している間中シスイの家に泊まり、昼間は李蘭と修行する、という日々を過ごした。
そして、遂に中忍試験第三の試験前日の夜。
シスイとルナは、横に並んで寝ていた。
「シスイさん、私、明日からまた、木ノ葉に行かなくちゃなりません。」
「……そうか。ルナとしばらくお別れか……」
「はい………」
ルナはシュンとした。
「ルナ、そんな悲しそうな顔するな。俺はいつでも、待ってるから。」
シスイはルナの手をキュッと握って言った。
「シスイさん、ありがとう。お休みなさい………」
「ああ、お休み、ルナ。」
シスイとルナは手を繋いで、眠りに落ちた。
翌朝。
ルナは遅れないように早めに起き、朝の支度をした。
今日は李蘭の趣味の服ではなく、いつもの黒タートルに、黒いズボンだ。
そして、まだ眠っているシスイの頰にキスを落とした。
「……シスイさん、行って来ます。」
そう呟くと、ルナは男に変化し、木ノ葉に飛んだ。
ルナがいなくなった直後、シスイは目を開けた。
「……ルナ………」
そして、ついさっきルナの唇が触れたところを、指でなぞった。
(俺は……ルナを愛している………でもそれは、家族という意味じゃあなくて………)
シスイは、ルナを抱きしめた時に感じた柔らかさと細さや、
頰に感じた唇の感触を思い出して、なんとも言えない気持ちになった。
同時に、言葉にできない胸の苦しさを感じた。
(………ダメだ。これ以上考えるのはよそう。俺はルナを困らせたくないんだ。
ルナにとって、俺はあくまで、家族の延長なんだ。それを忘れてはいけない。でも…………)
「それでもやっぱり…………」
(…………ルナ、愛してる。)
シスイは誰にも言えない想いを、心の中で呟いた。