第33章 休息
「そ、そうだルナ、料理をするなら、その髪纏めた方がいいな。ちょっとここ座れよ。やってやる。」
シスイが照れ隠しでルナにそう言い、椅子を指差す。
「はい。ありがとうございます。」
ルナはニコリと笑い、素直に椅子に腰掛けた。
シスイはルナの後ろに回り、ルナの髪を丁寧に梳かして、水色のリボンで結んだ。
(…………こんなもんかな。にしてもルナの髪って、綺麗だし、いい匂いするよな…………)
「………よし、できた。そうだ、袖も纏めた方がいいな。ルナ、襷はあるか?」
髪を纏め終わると、シスイは思い出したように言った。
「えーと、多分あったと思います。持って来ますね。」
ルナはそう言うと、神通眼を開き、神威を使って、別の部屋にある荷物の中を漁り、白い襷を引っ張り出した。
(あれは、神威とかいうやつか…………確か、空間と空間を交換したり、繋いだりする能力だったかな………」
シスイはその様子を、特に驚くこともなく見ていた。
「はい!襷です!…………やっていただけますか?」
ルナは立ち上がって、襷をシスイに差し出した。
「ああ。じゃ、ちょっと髪を退けて、後ろを向いてくれ。」
シスイは襷を受け取って、そう言った。
「はい…………これでいかがですか?」
ルナは髪を持ち上げ、後ろを向いた。
首のかなり上のほうまである襟のお陰で、ルナはヒヤヒヤしてはいなかった。
「よし………じゃ、結ぶぞ………」
シスイはそう言うと、手際よく和風メイド服の袖を纏め、ルナの背中で大きな蝶結びを作った。
「………うん。できた。じゃあ、料理を始めようか。」
「はい、シスイさん!」
シスイとルナは笑い合い、台所に向かった。