第33章 休息
「さてと。じゃ、寝るか。」
「はい!」
「じゃ、ルナはあっちの部屋で……」
「ええー!ヤダヤダ!シスイさんと一緒に寝るもん!」
ルナはシスイの腕に縋り付いて言った。
シスイはまた困ってしまった。
(いくら何でも並んで寝るのはマズイだろ……)
「ルナ、そういうのは、誰かと結婚してから………」
「…………結婚なんて、しませんよ。」
ルナは俯き、暗い声で呟いた。
「………………え?」
シスイはピシッと固まった。
「神隠れ滅亡の全てを聞いたシスイさんなら、わかるでしょう………?」
ルナは俯いたまま言った。
「あ……………」
そこでシスイは、気がついた。
(ルナが子孫を残したら、またいつか、生贄が必要になる時代が来てしまう…………
………………それじゃ、先祖の二の舞だ。)
「シスイさん、わかってくれたみたいですね。そう、私は一生、誰も愛さない……愛せないんです。
私は、悲劇を繰り返す訳には行かない。……わかりますよね?…私に許された愛は、家族愛のみです。」
「…………そうだな。ルナ、ごめんよ………」
シスイも俯いて言った。
「わかっていただけたなら、良いんです。で、一緒に寝てくれますよね?」
「………わかった。布団を持って来る。」
シスイはそう言って、別の部屋に布団を取りに行った。
その背中をルナはボーっと見ていた。
(ルナ……一生誰も好きになれないなんて………俺はなんて迂闊なことを………
……俺にできることは、ルナに寂しい思いをさせないことだけか………
……………ならば、ルナの願いを叶えてやるしかあるまい……………)
シスイは自分の軽率さを悔いた。
ルナのために、布団をもう一セット担いで、シスイはルナの元に戻った。