第33章 休息
「じゃ、ルナ、こっちだ。」
「うん!」
食事が終わった後、ルナはシスイと一緒に、シスイの家に来ていた。
「さてと……ルナ、先に風呂入れよ。俺が布団敷いとくから。」
「シスイさん、ありがとう!じゃあ、入って来ますね!」
ルナは脱衣所で服を脱いでバスルームに入ると、シャワーを浴び始めた。
(あー、生き返る。やっぱりお風呂はいいな。前世でも至福の時だった。)
水滴が肌を叩く感覚にうっとりしつつ、シャンプーを湯で泡立て、頭を洗う。
(ずっと男のまま生活してたからな……髪が長いと、やっぱ洗うのも一苦労だな……)
ルナは男に変化していた時は、洗髪が数分で終わったのを思い出した。
(切ろうかな……でも、なんかやだから、やっぱやめよ。)
取り留めもないことを考えているうちにルナは頭と身体を洗い終わり、風呂から出た。
身体を拭いて食事の後李蘭に渡された丸首の寝間着(李蘭の趣味によりレース特盛)を着ると、ルナは脱衣所の扉を開けた。
「シスイさーん、出ましたよー。」
「お、ルナ、出たか。ちゃんと髪乾かせよ!じゃ、入って来る。」
「……はーい。」
ルナはシスイが脱衣所に消えたのを見送ると、タオルで髪の水分を取ってから、ドライヤーで乾かし始めた。
が、かなりの長髪のため、なかなか乾かなかった。
(……腕が疲れた………)
そうこうしているうちに、シスイが出て来た。
「ありゃ、ルナ、まだ乾かせてないのか?」
そういうシスイの頭からは、ほくほくと湯気が出ていた。
「ここのところずっと男だったせいか、やり方忘れちゃいました……いや、それよりも、シスイさんお風呂早いですね。」
「まあ、男だからな。ルナ、ドライヤー貸せ。乾かしてやる。」
「シスイさん、ありがとう。えへへ……」
ブオオオォォ……という音がして、ルナの頭に温風が当てられた。
「ルナ、熱くないか?」
「大丈夫です……ふふ、シスイさんやっぱりお父さんみたいですね!」
「だから俺はまだそんな歳じゃないって……」
溜息を吐きながらも、シスイは実は満更でもなかった。
シスイが微笑を浮かべているのが、ルナには鏡越しで見えた。