第33章 休息
(参ったな……流石に、十三の女の子を二十の俺がそんなにまともに抱きしめるのは、ちょっと抵抗が……)
シスイが戸惑っていると、ルナは消え入りそうな声で呟いた。
「………なんでだかわからないんですけど…今ちょっと寂しくて死にそうなんです………
……………なんででしょうね?…困らせてごめんなさい……」
そう言って離れようとするルナを、今度はシスイが抱きしめた。
「………ルナ、死ぬなんて言わないでくれ……意地張って悪かった。」
シスイはルナをきつく抱きしめて、腕の中の存在を確かめた。
「…そんな……シスイさんは悪くないです。全て私が………」
「…ルナ、お前は何も悪くない。だからそんなになんでもかんでも背負い込もうとするな。
…………俺もイタチも、そんなことは望んでいない。」
「ごめんなさい………」
「………謝るな。」
ルナとシスイは、そのまま気の済むまで抱き合った。
長い時間が経って、ルナがようやく満足すると、二人で李蘭達のところへ向かった。
「そろそろ夕食どきだ。今日の料理人は那由他だったかな。」
「へぇ、そうなんですか。那由他、料理なんてできたんだ……」
「まあ、一応、な。それにしても、李蘭の腕前は凄いぞ。俺達のオカンと化してるぜ。
何しろ、他の家事全般も完璧だし。俺も李蘭から、色々と教わった。」
「ははは、そうですか!……私にとっても、李蘭はお母さんに近い存在ですね。
一歳から七歳までは、それこそいつも一緒でしたし。」
「……ルナ、やっぱりまた、李蘭についてもらっていた方が良いんじゃないか?
再不斬達も来たことだし………」
「……いや。大丈夫です。こんな気分にはもうそうそうなりませんから。」
ルナはそう言ったが、本当の理由は、計画に李蘭が気がつけば、必ず止められるから、だった。
「…………そうか。でも、無理するなよ。」
シスイはルナの真意には気がつかなかった。