第33章 休息
サスケはルナの家から出て、まっすぐ自分の家に向かった。
(レイのことを知れたのはよかったが………なんだかな……)
サスケはルナ(レイの姿)と出会って、自分の仲間に対する認識が変わりつつあることに、薄々気づいていた。
前は仲間なんて、ただの足手まといで、気にする価値も無いと思っていたが、
圧倒的実力を持つルナ、急成長するナルトを見て、焦りを感じていた。
同時に、仲間と自分の間に絆が生まれていることも、理解していた。
しかしサスケは、ルナに得体の知れないものも感じていた。
波の国までの道中、霧隠れの中忍をあっさり殺したルナ。
波の国で、数百の敵を相手に影分身たった十体で挑み、敵の半分を殺してまでサスケ達を守りきったルナ。
死の森で、壊れたように笑い出し、音忍を痛めつけたルナ。
そんな姿を見せられる度に、サスケはルナがどこか遠くに行ってしまうような気がしていた。
それがルナの一面として存在していることを、サスケは認めたくなかった。
(レイはいったい、何者なんだ………)
サスケは、流石に訊くことができなかった問いを、自分の中で持て余していた。
(レイが姉さんの訳はない………レイがいつどこで生まれたのかは、結局訊けなかったな……
……まあ、あんな顔をしてるレイに、あれ以上質問なんてできねえ………)
サスケは笑いながらも泣いていたルナを思い出した。
(俺があんな顔をさせたんだよな………レイ、悪かった………)
サスケは柄にも無く、自分の軽率な言動を反省した。
自分が最も嫌なことを、ルナにしてしまったことが、サスケの心を重たくしていた。
(レイに訊きたいことは沢山あるが………これ以上は、踏み込まないようにしよう。
俺は何かを訊く度に、レイを傷つけてしまう…………)
サスケはルナに煩く質問しないようにしようと思った。