第33章 休息
サスケはそんなルナを見ていられなくて、俯いた。
「レイ、悪かった……お前が悲しい顔を見られたくない気持ちはよくわかる。でも、俺はお前が………」
「……ありがとう、サスケ。」
何かを言いかけたサスケを、ルナが遮った。
「でも、いいんだ。その気持ちだけで十分。俺は平気だ。」
「レイ……でも………」
サスケはなおも何かを言おうとする。
「サスケが俺の事を心配してくれただけで、俺には十分過ぎるほど幸せなんだ。だから、いいんだ。」
サスケが顔を上げると、ルナがにっこりと笑っていた。
サスケはその笑顔にまた、亡き(とサスケは思っている)姉を重ねていた。
(姉さん……なんでだろう?レイを見ているといつも、姉さんを思い出すんだ……髪の色も目の色も違うのに………)
「それより、サスケ!第三の試験の準備は良いのか?お前、砂の我愛羅と当たるんだろ?」
ルナは空気を変えるために、話題を変えた。
「ああ……そうだ。だが、今回のトーナメントで最も強いのは………レイ、お前だろ?」
そう言ってサスケはルナをジッと見た。
「いやいや、サスケは俺を買い被ってるよ。俺達は第二の試験をあんなギリギリでクリアしたんだぜ?」
「確かにな。でもそれは、俺達がいたからだろ?お前なら第二の試験を一人で突破する事も可能だった筈だ。」
「うーん……」
返す言葉も無くルナは黙り込んだ。
「それでもな、レイ、当たったときは、俺が持てる全ての力を、お前にぶつけるから、覚悟しとけ。」
サスケはルナを見つめて少し凄んで見せた。
「はいはい。それは我愛羅を倒してから言えよ?」
ルナはサスケに軽口を叩き、明るく笑った。
サスケはその笑顔を見て少し安心した。
(よかった……いつものレイだ………)
二人は軽く喋りながら緑茶を飲み、サスケは帰る事にした。
「じゃな、サスケ。俺明日から、少し旅に出ることにしたから。
本選までには帰って来るから、カカシ先生によろしく。」
玄関先に立つサスケに、ルナはそう言った。
「…………そうか。わかった。じゃ、またな。」
サスケはそう言って、暗くなり始めた外の世界に消えていった。