第33章 休息
だが、サスケは他に人がいない今、それで諦めてはくれないようだった。
「レイ……あの時もお前は、そのおかしな言い訳をしていたな……お前のあの顔が変顔な訳ないだろ!
なんでそんなに、自分を隠すんだ?俺はお前の仲間じゃないのか…………?」
サスケからルナへの思いが噴き出して、二人の間を漂った。
(まずいな……新しい設定を捏造するしかないか……三代目が口裏を合わせられる範囲で……)
「サスケ、わかった。確かにあれは変顔じゃなかった。色々考えていたら、自然とそんな顔になってしまったのさ。
これは火影様以外知らないが、俺の両親は、俺のせいで死んだ。俺が殺したんだ。
それでも、両親は笑って死んでいった。こんな不肖息子のためにな。
だから俺も、俺の犠牲になった両親が浮かばれるように、ずっと笑顔でいようと思っているだけさ。
……ははっ、まあ、そんなとこかな…俺の話は……」
(なんか結局、何も捏造してない……)
ルナは下を向いて呟いた。
その目から、銀の雫が滴った。
ルナの話を聞いて、サスケは自分の憶測が当たっていた事がわかった。
(レイ……やはり両親の死に責任を……訊かなければよかったか………
…………俺はレイの傷を抉るようなことを……)
「そうか、レイ、訊いて悪かった……って…………」
サスケはルナの目から涙が零れているのを見て、驚き反省した。
(!……俺はまたレイを傷つけてしまった…憎む相手がいないレイの方が、何倍も辛いのに………)
ルナはサスケがシュンとしているのに慌て、目をゴシゴシと擦った。
「はは、サスケ、俺は大丈夫だ。だからそんな顔しないでくれ、な?」
そしていつものように笑った。
しかし涙は止まらず、ルナの頰を流れ落ちた。
「……あれ、変だな?なんでだろう?はは、気にしないでくれ。じきに止まる。」
目元を拭いながら笑うルナは、痛々しい程に健気だった。