第33章 休息
その時、ルナがうーんと小さく唸って目覚めた。
「あ、イタチ兄さん………おはよう。あれぇ、私サソリさんの横で寝ちゃった筈じゃあ………」
ルナは自分の身体が持ち上げられていることに気がつき、そう呟いた。
「いや……今、部屋に運ぼうとしてたんだが……」
(飛段のせいで、またルナを起こしてしまったな………)
イタチが少し申し訳なさそうに言う。
「ありがとー………折角だから、このまま運んでもらっても、いい?」
ルナはイタチに甘えてみたくなって、思わずそう言っていた。
「………ああ。いいよ。」
イタチは優しく笑って、よいしょとルナを抱え直し、ルナの部屋に向かった。
その背中を、他のメンバーは、顔を赤くしたり、生温かい目をしたりして見ていた。
(ルナとイタチ………ルナの方にそういう気はなさそうだが…………イタチの方はどうだか………)
サソリは、ルナとイタチを客観的に観察していた。
(くぅ〜、イタチのヤツ、見せつけやがって………)
デイダラはなにがなんだかよくわからないまま、イタチに嫉妬していた。
(血は繋がってないらしいですが………相変わらずえらく仲が良いですね……お二人。)
鬼鮫は任務中とは全く違うイタチを、いつも通り遠い目で見ていた。
ルナの部屋に来たイタチは、ベッドの上にルナをおろした。
「さてと。ルナ、眠るときはベッドで寝るんだぞ。」
(ルナももう十三だ…………ちゃんとさせなくては。)
イタチはその言いつけの真意に、自分でも気がついていなかった。
「はぁい。そうしますぅ………」
ルナはそう言って目をこすると、もう一度ベッドに横たわり、すぐにスースーと寝息を立て始めた。
(やれやれ………ルナはよく寝るな。まあ、ルナも色々疲れているだろうし、そっとしておこう。)
イタチはそう思うと、眠っているルナの前髪を払い、額に口付けた。
(って、俺は一体何をしているんだ⁉︎)
イタチは何気ない自分の行動に慌て、ルナの部屋を後にした。