第33章 休息
ルナとイタチがリビングルームに出てくると、いつの間にか、サソリがいた。
しかも、その傀儡は、サソリ本人の身体を元にしたものに変わっていたのだった。
つまり、ヒルコから出ているということだ。
ただ、ルナは転生者であることを隠したいため、一応知らないフリをすることにした。
「…………あの、あなたはもしかして、サソリさんですか?」
ルナは赤い髪の傀儡に入った人物に、話しかけてみた。
「………!わかるのか、ルナ?」
サソリは表情は変わらなかったが、少し嬉しそうだった。
「はい、なんとなくですが………気配が似てらしたので。サソリさん、いつもより素敵ですね!」
(サソリさん、可愛い!いつもこの傀儡でいてくれたらいいのになぁ〜…………)
ルナはそう言ってふふっと笑うと、ストっとサソリの隣に座った。
「そ、そうか……………」
(ルナが、俺の横に来るなんて………もっと早く、こうしていればよかった………)
サソリはそれを見て驚いていたが、そこから退こうとはしなかった。
「…………なあ、デイダラ。どうしてサソリは、いきなり傀儡を変えたんだ?」
仲良さげにしているルナとサソリを側から見て、イタチがひそひそ声で訊いた。
「え?ああそりゃ、さっきルナに、顔見た途端逃げられたのが、ショックだったんだろうなぁ、うん!
オイラも、ちょっと言い過ぎたかもしんねぇ………」
デイダラもひそひそと言った。
「そうか………」
(サソリの奴………そんなにルナと仲良くしたかったのか……まあ、いつものあの傀儡じゃ、怖がられるのも無理ないしな……
………六年も粘ってたのに、とうとう折れたか………)
イタチは、ルナがにこにこしているのを見て、何故か少しモヤモヤしたが、それがなんなのかはわからなかった。
(まあ、ルナも機嫌良さそうにしてるし………俺は部屋に帰って寝るか。)
イタチはそう思って、自分の部屋に入って、ベッドに横たわった。