第33章 休息
「あー……なんでもないよ。」
ルナは駄目元で、そう嘘を吐いた。
「なんでもないわけないだろう。ルナ、正直に……」
イタチはそこで、ルナが木ノ葉に潜入した動機を思い出した。
——————大蛇丸をどうにかするまで、サスケを側で守らなくてはなりません。
「ルナ、まさか……それ……大蛇丸にやられたのか…………?」
イタチは至って冷静に訊いたが、内心は全く穏やかではなかった。
「……やっぱりイタチ兄さんには敵わないな……うん、そうだよ。
……これは大蛇丸の呪印。私が、自分から受けた。」
ルナがそう言って笑うと、イタチは何も言わずにルナの華奢な身体を抱きしめた。
(ルナ……サスケを守り切ってくれたんだな……辛かったろうに……俺が大蛇丸を殺し損ねたばかりに……)
「ルナ……済まない。お前に苦労をかけてばかりだ、俺は。」
「そんなことないよ!……イタチ兄さんがいるから、私は前を向いていられるんだよ。
……だからイタチ兄さんは、自分を責めないで?」
(と言うより、私はイタチ兄さんがいるから、生きていられるって言っても、過言じゃないんだけどね……)
ルナもイタチを抱きしめた。
しばらくして、落ち着いたイタチは、ルナを離した。
「……それでルナは、これからどうするつもりだ?」
「大蛇丸がそのうち迎えを寄越すらしいから、それが来たら、木ノ葉を抜ける。
それまでは、正体悟られないように、木ノ葉で過ごすよ。」
「ルナ、そんな……危険過ぎる。」
「だって、そこまでしなくちゃ、また大蛇丸がサスケにちょっかい出しちゃうかもしれないでしょ?
一番近くから監視するのが、一番だよ。どうせ私は木ノ葉で死亡扱いになってるんだし。大したことじゃないよ。
それに、大蛇丸は隙を見てバラすから。」
(なんて、大蛇丸は封印する予定だけどね!)
ルナはサクッと嘘を吐いた。
「ルナ……でも……」
「平気平気。それに、私がさ、大蛇丸に負けると、思う?」
「……いや。でも……」
「ほーらね、だから大丈夫!心配しないで。」
「……そうか。」
イタチは妹の決意が何よりも固いことを悟り、何も言えなくなってしまった。