第33章 休息
数時間経って、イタチと鬼鮫が帰って来た。
「只今戻った。」
「お、イタチじゃねーかぁ。ルナが待ってるぜぇ〜」
ソファの上の飛段が、ルナの部屋のドアを指差す。
「何、ルナが⁉︎」
イタチは予期せぬルナの帰還に驚き、つい大きな声で訊いてしまった。
「さっき一回出て来たんだけどよぉ、サソリと角都の顔がコワ過ぎて、引っ込んじまったぜぇ〜」
(へへっ、イタチのヤツ、ルナのことになると必死だよなぁ〜)
飛段がヘラっと笑って、サソリの部屋と角都の部屋の方をチラッと見た。
「………なるほど。」
飛段の言葉に、イタチは今は部屋に引っ込んでいる、サソリと角都のいつもの不気味な顔を思い出して、納得した。
コンコン
「ルナ、入るぞ。」
ガチャ
イタチがルナの部屋に入ると、ルナはベッドで寝ていた。
白く長い睫毛を伏せ、頰を薔薇色に染めて、静かに眠るその様は、安らぎに満ちてとても可愛らしかった。
「ルナ………待ちくたびれてしまったか………」
イタチは、ルナが起きるまでずっとその顔を見ていたい気持ちを抑えつけ、呟いた。
そして、今起こすのも可哀想だと思って出て行こうとすると、服の裾をキュッと掴まれた。
「……ふわぁ………んー…イタチ兄さん、お帰りなさい………」
ルナは欠伸をし、目を擦りながら言った。
「起こしてしまったか………ルナ、ただいま。」
振り返ったイタチはそこで、服の襟がはだけて見えてしまっている、ルナの白くしなやかに首に刻まれた三つ巴を発見した。
「ルナ、これはどうしたんだ?」
(なんだこれは?見たところ、呪印か何かのようだが………)
「え。」
ルナはイタチに呪印を発見されてしまったことに焦った。
(まずい!イタチ兄さんに誤魔化しは通用しないし……かと言って正直に言ったら怒られそうだし………)