第33章 休息
「………どうしてそれを?」
「そう、やっぱりそうだったんだ。」
ルナの反応で、李蘭はカマをかけられていたことに気がついた。
「やられましたね………ルナ様、どうやってお気づきになったのですか?」
「いや、なんとなく。」
ルナは幼い頃に、まだ作られていないはずの涅槃精舎の術を教わったせいだとは言わなかった。
それを言ってしまえば、自分が転生者であることを教えなくてはならないからだ。
「そうですか………それで、私に未来を見て欲しいのですか?」
「ううん。そうじゃなくて、なんでそんな能力を持ってるのかなー、って。」
(ていうかむしろ、見られたらまずい。私が今、何を企んでるかモロバレしちゃうし。)
「あ、そのことですか。やっぱりルナ様は、面白い方ですねぇ……………
…………では、お話ししましょう。」
李蘭はそう言って、ゆっくり口を開いた。
「私達が神の僕だったのはお教えしましたよね?」
李蘭は念のためルナに確認した。
ルナは李蘭にしっかりと頷く。
「うん。」
「………実は、私と那由他は、神の能力の器にされたのです。」
「へえ、いつ頃?」
「神が装置に入る直前に。いつか、子孫達がこれを必要とするときのために、と。
私は未来、那由他は過去を見る能力を、神から譲り受けました。」
「そう………でも、あんまり使ってないみたいだね。」
「ええ。それに、未来というものは不安定で、私が見たことで変化してしまう場合もあります。
悪戯にこの能力を使えば、どうなるかわかったものではありません。
私も、最近使ったのは、未来で開発されている術を神通眼でコピーしたときくらいですよ…………」
「そう……」
それを聞いてルナは、やっぱり、と思った。