第32章 予選
「しかし火影様、さっき大蛇丸が、レイ一人で戦争を始められると言っていたのですが、これはどういう事でしょうか?」
「なんじゃと?」
カカシの言葉を聞いてヒルゼンは驚きの表情を浮かべた。
(ルナ一人で、戦争だと………確かに、あの子が本気を出せば、不可能ではない、か………?
あの子は影分身の術を使えるし、一人で中忍以上の忍を数十人始末するくらいは、ワケ無いのだからな………)
「…………すまんが、カカシ。それについては良くわからぬ。
あの子は確かに強いが、多分大蛇丸が買い被り過ぎなだけだ。
……下忍一人で戦争など、起こせる訳が無いだろう。
まあ、仮に起こせたとして、あの子はそんな事はせんがな。」
「そうですか………では、後一つだけ………火影様とレイはどういう関係ですか?」
カカシはそれを聞いて少しホッとし、質問を続けた。
「どういう、と言われてもな……」
ヒルゼンはううむと考え込んだ。
(一番答えづらい質問が来たのう…適当に何か言っておくしか無いか………
こんな事なら、ただの養子とかそういう設定でも良かったような………)
「……いや、ただの遠縁じゃよ。あの子には、他に親戚がいなかったのでな。儂が引き取ったまでじゃ。
…………ただ、あの子が戦っているところは何度か見た事があってな。歳の割にはとてつもなく強いのは知っておった。」
「そうですか………しかし流石に、強過ぎはしませんか?レイは既に、上忍クラスです。
あの桃地再不斬とも、対等以上に渡り合っていましたが?それに、何故卒業試験直前に引っ越したのですか?」
カカシは疑問がどんどん湧いて来て、思わず矢継ぎ早に訊いてしまった。
「まあまあ、そう焦るな……一つずつ話そう。まずあの子の強さについてじゃが……それも正直、よくわからん。
強いて言えば、あの子はサスケ達より一歳年上であることくらいか。」
カカシはヒルゼンの答えに驚いた。
「サスケより一歳年上?レイは留年したという事ですか?」
「いや、なんらかの事情で、入学が一年遅れたらしい。」
(実際には、一年で卒業していたがな……お前の部下もやっていたしな……僅か七歳で………)
ヒルゼンは心の中で呟いた。