第32章 予選

徐々に近づいて来る大蛇丸を、カカシは雷切を出して威嚇した。

「ふざけるな……俺でも刺し違えるくらいは出来る！それなら尚更、レイに近づくな！」

すると大蛇丸はケタケタと笑い出した。

「すること言うこと、全てズレてるわね………封印なんかしたって意味ないわ。

いずれレイ君は、自分から私の元へ来るわ…サスケ君の代わりにね……

………レイ君は、サスケ君の為なら、喜んで闇に堕ちていくわ……もっとも、既に堕ちているみたいだけど…………

……これからも、レイ君は大事な人の為に、犠牲を払い続けるんでしょうねぇ………

ふふっ、おかしな子よね……こんなに力があるのに、人を守ることばかりにそれを使って、

自分は傷ついて………誰にも理解されないまま、ただただ沈んでいくのよ…………………」

大蛇丸の言葉に、カカシは波の国でのルナを思い出した。

(レイが敵を殺したのは………俺達に危険が迫ったときだけだった………

……………俺達がレイに殺戮をやらせたんだ……俺達が弱いから………)

カカシは、ルナのお陰であの修羅場を乗り切れたことを思い返す。


「……で、私と刺し違える、ですって？……やってみれば？………出来ればだけど…………」

「っ………」

大蛇丸が出した殺気に当てられて、カカシは硬直してしまった。

「まあ、今日のところは帰ってあげるわ……まだ時期が来てないしね。

……じゃ、カカシ君、さようなら。」

大蛇丸は楽しそうに笑うと、どこかに行ってしまった。




大蛇丸が消えて数分経って、漸くカカシは動けるようになった。