第32章 予選
「レイ?おい、レイ⁉︎」
カカシが横に倒れたルナを心配して顔を覗き込むと、ルナは普通に眠っていた。
(びっくりした……)
ルナの安らかな寝顔に、カカシは一安心した。
(にしても、レイって誰かに似ているような……)
記憶の中を探ってみるが、ピンと来る人物はいない。
カカシが自分のベストをルナにかけながら考え込んでいると、後ろから声がした。
「………封印の法術まで扱えるようになったってワケね……………カカシ。」
「あんたは………」
カカシが振り向くと、そこには大蛇丸が立っていた。
「……お久しぶりね、カカシ君………でも、あなたには用はないのよ…あるのはその後ろの子だけ……」
「……っ………なぜレイをつけ狙う⁉︎」
カカシがそう言うと、大蛇丸は笑い出した。
「………つけ狙う、ですって?レイ君は、自分から私の呪印を受けたのよ。
サスケを狙うのをやめて、俺にしろ、ですって………余程サスケ君が大事なのね……」
「自分から、サスケの代わりに…………?」
大蛇丸の言葉を聞いて、カカシは驚きつつも、さっきの疑問のヒントを得たような気がした。
「じゃあ、そもそもサスケを狙った目的は何だ⁉︎」
カカシが怒鳴った。
「最近できた音隠れの里…あれは私の里でね……」
「……下らない野望か…………」
「ふふっ、言ってくれるじゃない……でも、ま、そんな感じね…そのためには、色々と駒が必要なのよ………」
「レイもその一つって訳か………」
「いいえ……レイ君は優秀な手駒………そして今…試験を受けているのは………ただの捨て駒よ。
……あなたはわかってないみたいだけど、一人で戦争が始められるほどに、レイ君は強いのよ……
…………おっと、これ以上喋るとレイ君に怒られるわ………………」
大蛇丸の言葉にカカシは目を見開く。
(レイ一人で……………………戦争⁉︎)