第32章 予選
ルナはカカシと一緒に、石柱が沢山ある所までやって来た。
「これから、呪印を封印する。」
「はい。」
「あれ、驚かないのね」
ルナが驚きも引きもしなかったのに、カカシは少々びっくりした。
ルナはカカシが封印の陣を書き終わるまで、ボーっとして突っ立っていた。
「じゃ、そこ座って、上脱いで。」
カカシが書き終わった陣の中心を指差して言った。
「……はい。」
(うーん、変化してるとはいえ、ちょっと恥ずかしいな………ま、仕方ないか。)
ルナは僅かな躊躇いの後、上半身裸になった。
カカシは手のひらをザックリ切り、自らの血でルナの身体に封印の術式を書いていった。
「………カカシ先生、大丈夫ですか?」
沈黙が痛くて、思わずルナはカカシに話しかけた。
「手のひらのこと?平気平気、こんなの傷のうちに入んないよ。
…………レイこそ、よくこんな状態で勝ったね。」
(まあ、レイの実力からすれば、当然だが。)
「はっはは、運が良かったんですよ。秋道チョウジ、でしたっけ?
あの子がドス・キヌタと戦うのを見ていたんで、攻撃の要に気付けたんです。」
ルナはそれっぽい説明をした。
「…フーン?………じゃ、レイ、すぐ終わるからな。少しの間、辛抱してくれ。
封邪法印!」
カカシはそう言って印を結び、ルナの背中に手を置いた。
すぐに、ルナを凄まじい痛みが襲った。
「うっ……んあぁっ……」
ルナはそれを笑いで発散する訳にもいかず、ただ低く呻いた。
(痛いよ痛いよ……いやでも、サスケがこれを感じずに済んだと思えば、大したことじゃない。
…………イタチ兄さんはもっと痛かったのに、一人で耐えてたんだもん。私だって、耐えてみせる!)
やがて、封印が終わったのか、ゆっくりと痛みが引いていった。
「ふぅ。」
ルナは止めていた息を吐き出した。
(耐えきったー。あー、疲れた。)
ルナはチャクラコントロールが安定しているのを確認すると、
意識が薄れていくのに任せて横に倒れ、そのまま気を失った。