第32章 予選
第十一回戦になった。
泣いても笑っても、ここでルナの名前は呼ばれる。
ルナが電光掲示板を見ると………
『スメラギ・レイVSドス・キヌタ』
「…………はぁ。」
ルナは相手が我愛羅じゃなかったことに、残念なような、ホッとしたような気持ちで溜息を吐いた。
(ドス・キヌタか………都合よく我愛羅に当たったりはしなかったか………いや、当たらなくてよかったのか?)
呼ばれたのにやけにのんびりしているルナに、カカシが声をかける。
「ほら、レイ!呼ばれてるぞ!早く行け!」
「あ、はい。」
相手を待たせていることに気がついたルナは、慌てて下に降りていった。
闘技場では、既にドス・キヌタがルナを待ち構えていた。
「…………さっきはどうも。」
ドス・キヌタが慇懃に挨拶して来た。
「………どーも。君たちの上司の所為でさっきから肩凝りが酷くて酷くて…………」
ルナも首筋をさすりながらドス・キヌタに挨拶した。
(てめぇ、ふざけんじゃねえぞ…ぜーったい勝ってやる…………)
ルナは胸の中で毒づいた。
(とはいってもな…命遁はこんな大勢の前じゃ使えないし……呪印の所為で今はそう長くは動けないかもしれないし…………
…………ま、あいつのお得意の音攻撃は、耐久性&回復力が殆ど人間の域を出てる私には効かないしね…………
………早いとこあの手にくっつけてる武器ぶっ壊して、当て身でもしてやろうか…………)
ルナは薄く笑みを浮かべ、作戦を決定した。